不動産に関する税金の改正について(その1)


at home TIME 2018/4月号掲載分より

不動産に関する税金の改正について(その1)

税理士・不動産鑑定士
千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科客員教授 井出 真

今回より、平成30年度税制改正のうち、不動産に関するものについて解説していきます。

※なお、下記の内容は昨年12月22日に閣議決定された「平成30年度税制改正大綱」によるものであり、各法案の成立過程において変更が生じた場合、後日このコーナーでお知らせします。

◎ 所得税・法人税

(1)所得控除・青色申告特別控除(平成32年分以後の所得税に適用)

 給与所得控除額と公的年金等控除額は、一律10万円引下げ・上限額の引下げ等が行われます。なお、基礎控除額は高額所得者(合計所得金額2400万円超)を除き、48万円(現行:38万円)になります。また、青色申告特別控除額は55万円(現行:65万円)になります。ただし、一定の要件(e-Taxによる期限内申告)を満たす場合は65万円のままです。

(2)の特例措置(居住用財産を譲渡した場合)の適用期限が、平成31年12月31日まで2年延長されます。

① 居住用財産の買替え等の場合の譲渡損失の繰越控除等
② 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等
③ 特定の居住用財産の買替えおよび交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例

 なお、③の買替資産が非耐火既存住宅の場合、次のいずれかに該当することが要件となります。

a. 取得の日以前25年以内に建築されたもの
b. 地震に対する安全基準等に適合すること

 ただし、いずれの要件も満たさない非耐火既存住宅を取得した場合も、その取得期限までに改修等を行って前記の要件に適合すれば認められます(平成30年1月1日以後に譲渡資産の譲渡をし、同年4月1日以後に買替資を取得する場合に適用)。

(3)投資法人に係る課税の特例において、投資法人の支払配当等の額が配当可能利益の額の90%を超えていることとする要件の配当可能利益の額は、その投資法人が納付した外国法人税額等の控除後の額とされます。

◎ 相続税

(1)小規模宅地等の評価減の見直し(平成30年4月1日以後の相続等に適用)。

①特定居住用宅地等の特例の対象者
(持ち家に居住していない者)の範囲から、次のいずれかの者が除外されます。

a. 相続開始前3年以内に、3親等内の親族またはその者と特別の関係のある法人が所有する、国内にある家屋に居住したことがある者
b. 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

②貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等が除かれます。ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が、当該貸付事業の用に供しているものは除かれません。また、平成30年3月31日以前から貸付事業の用に供されている宅地等も除かれません。

③介護医療院に入所して亡くなった被相続人が、入所まで居住の用に供していた家屋の敷地である宅地等を、特例の対象とします。

(2)相続税の納税猶予制度について

①三大都市圏の特定市以外の地域内の生産緑地について、営農継続要件を終身(現行:20年)とします。
②特例農地等の範囲に、特定生産緑地である農地等および三大都市圏の特定市の田園住居地域内の農地を加えます。
③ 特定生産緑地の指定を受けなかった(または指定の期限の延長がされなかった)生産緑地については、すでに適用を受けている納税猶予は継続されます。

at home TIME 2018/4月号掲載分より


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