生産緑地2022年問題 その後


株式会社セット設計事務所

生産緑地2022年問題 その後

課題の先送りが可能になったが、今後どうすれば良いのか?!

特定生産緑地制度の施行により、 生産緑地税制の継続が10年延長可能になったことから、 2022年の生産緑地の市場放出とその影響は限定的になっています。
しかし、 市街化農地の多くが抱えている潜在的課題(後継者不足、 無接道による宅地化の不可)は解決されずに残されているといえます。
そこで、 10年後を見すえ、 潜在的課題の解決方策の一つとして「土地区画整理事業」による宅地化への準備を実施した事例をご紹介します。

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1992年に指定された生産緑地が30年を迎える2022年、 生産緑地が市場に大量に売り出されることで地価の暴落や都市部の宅地化進行による緑地の減少など多くの問題が懸念されていた『2022年問題』。
その対策として、 2018年に施行された「特定生産緑地制度」により、 生産緑地の指定を10年ごとに延伸可能になり、 2022年に30年を迎える生産緑地の約9割(当社調べ)がこの制度を利用することになった。
このような状況にあり、 生産緑地の宅地化は限定的となり、 懸念されていた大きな問題は回避されたかに見えるが、 実態は問題先送りでしかないといえる。
農地所有者が、 この特定生産緑地制度を選択した理由・目的は以下の点が考えられる。
1.納税猶予の継続:生産緑地の6割以上が納税猶予の適用を受けている事から継続のために選択
2.営農継続:後継者も営農に積極的なので選択
3.将来の土地活用が不明確なためとりあえず延伸を選択
このほか、 潜在的・根本的な問題として挙げられるのが次のケースである。

4.農地の多くが、 宅地化(建築が可能な敷地)するために必要な道路に接していない状況にあり、 地権者が農地以外の土地活用をあきらめて特定生産緑地を選択
(新たに道路を整備して宅地化が可能な農地にしたくても、 「生産緑地は開発できない、 納税猶予の適用を受けていると一切変えられない」と思われている地権者は非常に多いと考えられる。 )

【潜在的問題】
生産緑地法、 都市緑地法の改正、 税制改正により、 生産緑地の保全や活用方法の選択枝は増えたが、 農業環境の変化や営農継承者不在の問題を抱えている生産緑地所有者は、 相続時等においてやむなく生産緑地の宅地化を選択せざるを得ないケースが相変わらず多いと思われる。
このようなケースが多くある中、 前述の無接道農地の場合には宅地化する事も出来ない状況で、 納税資金の調達に苦労されている方も多いと考えられる。

【10年後等を見据えた解決方策】
生産緑地の継続を再考する10年後や相続時など将来を見据え、 道路整備を行って無接道農地を道路付の農地にしておくことは重要だが、 “生産緑地は開発出来ない、 納税猶予適用農地は変えられない ”とあきらめている方が大半だと思われる。
そこで、 その解決方策として取り上げるのが『土地区画整理手法』の活用であり、 生産緑地でも納税猶予適用農地であっても、 道路を整備し宅地並みの造成工事や区画割りも可能となる。

【土地区画整理の活用】
土地区画整理は、 農地の立地条件により、 1人でも実施可能となるケース、 又は隣接地権者と共同で事業者になって実施するケースがあります。
この土地区画整理手法を活用すれば、 道路等の基盤整備にかかる費用も自己資金を必要とせず、 土地の一部を売却して充てることができます。

【区画整理の主なメリット】

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■ミニ区画整理の模式図

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【 土地区画整理事業の事例】
無接道農地を道路付の農地にした土地区画整理事業の実例を、 当社がコンサルティングした地区の中から次の2地区をご紹介します。

< 事例1.西東京市向台町五丁目地区 >

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事業面積: 約 7,300平方メートル
地権者数: 2 名
事業期間: 1ヶ年
減歩率 : 約29 %

< 事例2.稲城長沼駅東地区 >

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事業面積: 約 5,000平方メートル
地権者数: 5 名
事業期間: 1年2ケ月
減歩率 : 約32 %

【事例2に沿って区画整理の仕組みをYOUTUBEで解説しています】

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